ママの手シフォン 誕生秘話? 第2話
地元の自然食品のお店・・・"自然食品、こだわりの一品"と書かれた大きな看板が目をひく、その酒屋さんには"卵"が二種類置かれていました。
一つは「地元産の平飼い有精卵、茜(あかね)ちゃん」と書いてあり
もう一つは京都にある私も名前は聞いたことのある卵でした。
牛乳も地元産の物が二種類ありました。
その他ケーキの材料になりそうなものを買い込んで帰ってきて、
さてこれらで何を作ろうか。と思った時フッと昔友だちが焼いてくれ
たシフォンケーキのことを思い出しました。
それはとても柔らかで、しっとりしていて、見た目よりもずっと繊細
な味のケーキでした。
これだったら宅急便で送ることもできるし材料も作り方もそう難しく
無い幅広い年齢層に合いそう
(ちなみにママの手のお客様には最高92才のファンの方がいらっ
しゃいます)
バリエーションもきくし、何よりも卵をたくさん使うので、味に特徴
がでるのでは・・と思いました。
さっそく家に戻ってまず卵の味比べをしました。
2種類の卵をお皿にポンと割り入れた時、あれ?と思いました。
京都の卵は黄身の色がオレンジがかったとても濃い色で見るから
においしそうでした。方や、あかねちゃん卵は黄身の色がうすく、レ
モン色に近い黄色をしていました。
この2つをご飯にかけて、おしょうゆも何もつけずに食べてみると黄身の色の濃い卵の方が味も濃く、おいしく感じました。この時点で、ケーキに使った時どちらが美味しくできるか、もう想像がついてしまいました。
とりあえずシフォンケーキを焼いたのですが、
・・・・・
お皿に取り出した瞬間"えっ!"と思いました。
あまり期待して無かったあかねちゃん卵で焼いたケーキから、
何とも言えない卵の良い香りがフワァーーッと漂ってきたのです。
もう一つの方とは比べものにならないくらいに鮮烈でした。
驚きつつケーキを切ってみて、またまたビックリ。
あれほど濃い色の卵を使った方のケーキの色が薄く、逆にあれだけ
たよりなげな色をしていた"あかねちゃんたまご"のケーキはとても
鮮やかな黄色に仕上がっていました。
香りと言い色といい、まったく私たちの予想に反していました。
そしてケーキを口に入れた時のあの感動!!!
やさしい卵の味が口いっぱいに広がって、おいしいと一言で表現
するよりも、どこか懐かしくて、あたたかで、とても幸せな気分にな
れるケーキでした。
食べた後に自然と笑みがこぼれるような、そんな味のケーキに
出会ったのは私も主人も初めてでした。
その後も、こだわりの卵といわれるものを取り寄せたり、何種類も
の卵を使って焼いてみましたが全てあかねちゃん卵のケーキ以上
の物は出来ませんでした。
そして牛乳についても、地元滋賀県信楽(しがらき)にある山田牧場
さんで作られている低温殺菌牛乳が卵の味と香りを引き立ててくれ
るベストパートナーだということを何回も試作をする中で確信しました。
"これだ!"という味に出会えたことが嬉しくて、材料を仕入れている
酒屋さんと卵を作られている保田さんへ、それぞれケーキを焼いて
持って行き試食していただきました。
そのときはまだ商売として具体的に進めようというところまではいか
ず、ただ美味しく出来たケーキを誰かに食べてもらいたくて「おやつ
にどうぞ」という感じで友人や知り合いに焼いては配っていました。
まさかこの出来事が"ママの手"の正式オープンのきっかけになると
は思いもしませんでした・・・
。。。第3話へ続く。。。
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